鋳型はどのように作る?フラン自硬性鋳型の製作工程

鋳型とは?

鋳型(いがた)とは、溶かした金属を流し込み、目的の形状に凝固させるための型です。

鋳造では、製品と同じ形状を持つ空間を鋳型の内部につくり、その中へ溶湯を流し込むことで鋳物を製造します。

当社では、主に「フラン自硬性鋳型」と呼ばれる砂型を使用しています。フラン樹脂と硬化剤を砂に混練し、化学反応によって砂を硬化させることで鋳型を製作します。

鋳型の製作は、完成する鋳物の形状だけでなく、寸法や表面状態、内部品質にも関わる重要な工程です。

ここでは、当社で行っている鋳型の製作工程を、木型の準備から型合わせまで順にご紹介します。

鋳型ができるまで

1.木型の準備

鋳型を製作するために、まず製造する製品に対応した木型を準備します。

保管場所から木型を取り出し、破損や異常がないか状態を確認したうえで定盤へセットします。

その後、製品や鋳造方案に応じて、識別番号、冷やし金、陶管など、造型に必要な部材を所定の位置へ設置します。

冷やし金は、鋳物の一部を他の部分より早く冷却させることで凝固をコントロールするために使用します。また、陶管は溶湯を鋳型内部へ導く湯道などに使用します。

木型の状態や各部材の配置は、その後の造型や注湯だけでなく、完成する鋳物の品質にも関係するため、準備段階から適切な確認を行うことが重要です。

2.造型

木型の準備が完了したら、木型の形状を砂へ転写して鋳型をつくる「造型」を行います。

まず木型の周囲に金枠を設置し、溶湯の入口となる湯口用の陶管や、押湯・上がり孔を形成するための部材を所定の位置へ設置します。

その後、フラン樹脂と硬化剤を混練した砂を金枠内へ投入します。

木型の細部まで砂を十分に行き渡らせるため、製品や木型の形状に応じて突き固めを行うほか、振動テーブルを使用して砂を充填します。

砂の充填後には、鋳型内部で発生するガスを外部へ逃がすため、鋳型上部から貫通させないガス抜き孔を設けます。

一定時間が経過すると、フラン樹脂と硬化剤の作用によって砂が硬化し、鋳型として必要な強度を持つようになります。

十分に硬化したことを確認した後、木型を鋳型から取り外す「抜型」を行います。木型を抜くことで、砂の中に製品形状が転写された空間が形成されます。

抜型後は鋳型表面に塗型を施します。塗型には、溶湯と鋳型の砂が直接接触することによる焼きつきなどを抑える役割があります。

当社では塗型を着火して乾燥させ、鋳型内部に水分が残らないよう管理しています。

3.中子の製作

製品内部に空洞や、主型だけでは形成できない形状がある場合には「中子(なかご)」を使用します。

中子を鋳型内部の所定の位置へ設置することで、穴や空洞などの複雑な内部形状を持つ鋳物を製造することができます。

当社では、中子にも主型と同じフラン砂を使用しています。ただし、中子には十分な強度が必要となるため、主型よりも樹脂の添加量を増やして硬度を確保しています。

また、中子の形状や大きさに応じて内部に補強用の芯金を入れるほか、重量のある中子にはクレーンで吊り上げるための吊りカンを設置します。

凝固をコントロールする必要がある箇所については、中子側にも冷やし金を設置します。

中子は溶湯に囲まれる部分が多く、特に焼きつきの防止が重要となります。そのため当社では、主型とは異なる、耐焼きつき性を重視した塗型を使用するなど、用途に応じて塗型を使い分けています。

4.中子の設置

完成した中子を、鋳型内部の所定の位置へ設置します。

上型と下型によって確実に挟み込むことができる中子は、そのまま所定の位置へ設置します。

一方、横向きの止まり穴など、上下型で挟み込むことができず、鋳型の中腹などに保持する必要がある中子については、接着剤を使用して固定します。

また、中子から発生するガスを鋳型外部へ逃がすため、中子と鋳型の位置関係を確認しながらガス抜き孔を設けます。

中子の位置がずれると製品の肉厚や穴位置などにも影響するため、正しい位置へ確実に設置することが重要です。

5.型合わせ

中子の設置が完了したら、上型と下型を組み合わせる「型合わせ」を行います。

型を合わせる前に、中子が正しい位置へ設置されていることを確認するとともに、鋳型内部に残った砂やほこりなどの異物を除去し、十分に清掃します。

当社で使用している塗型は着火して乾燥させていますが、鎮火後には鋳型が再び吸湿することがあります。そのため、型合わせの直前にバーナーで鋳型を加熱し、残った水分を除去します。

その後、注湯時の湯漏れを防止するためのシール材を設置し、上型と下型の位置を確認しながら芯を合わせ、慎重に型を閉じます。

型合わせ後は、上下型がずれたり開いたりしないよう固定金具を使用して固定します。製品によっては、溶湯や凝固時に鋳型へ加わる力による変形や開きを防ぐため、ボルトを使用して締結する場合もあります。

また、押湯や上がり孔から砂やほこりなどの異物が鋳型内部へ入ることを防ぐため、孔の上部を綿で保護します。

最後に、押湯や上がりに必要なヘッドを取り付け、湯口にはかけ堰を設置して、溶湯を注ぎ込むための鋳型が完成します。

鋳型の製作から品質づくりは始まっています

鋳型の製作は、単に製品の形を砂へ写し取るだけの工程ではありません。

木型の状態確認、冷やし金や湯道の配置、砂の充填、中子の強度、塗型、ガス抜き、型合わせなど、それぞれの作業が完成する鋳物の品質に関わっています。

また、同じフラン砂を使用する場合でも、主型と中子では必要な強度に応じて樹脂添加量を変えたり、求められる性能に応じて塗型を使い分けたりするなど、それぞれの用途に合わせた条件管理が必要です。

鋳造品の品質は最後の検査工程だけでつくられるものではなく、こうした鋳型の準備・製作段階からつくり込まれていきます。

次回は、完成した鋳型へ注湯する溶湯がどのようにつくられるのか、鋳鉄の溶解・成分調整・出湯・注湯についてご紹介します。

▲ページのトップへ