鋳物の冷却・型ばらし・仕上げとは?注湯後から焼鈍までの工程

注湯後の鋳物はどうなる?

鋳型への注湯が完了した後、溶湯は鋳型内部で冷却・凝固し、固体の鋳物へと変化していきます。

しかし、鋳物は凝固しただけでは製品として完成しません。

十分な冷却時間を確保した後、鋳型から鋳物を取り出す「型ばらし」を行い、砂や湯道、押湯、鋳バリなどを除去しながら製品形状へ仕上げていきます。

また、製品によっては鋳造時に生じた残留応力を低減するため、仕上げ後に応力除去焼鈍を行います。

ここでは、当社で行っている注湯後の冷却から型ばらし、仕上げ、焼鈍までの工程をご紹介します。

※製品の重量、肉厚、形状、仕様などによって、冷却時間や仕上げ方法、熱処理の有無は異なります。

冷却から焼鈍までの流れ

1.鋳型内での自然冷却

注湯後の鋳型は、そのまま一定時間静置し、自然冷却させます。

鋳型内部の溶湯は、周囲の鋳型へ熱を放出しながら徐々に凝固し、鋳物となります。

必要な冷却時間は、製品の重量や肉厚によって大きく異なります。

大型品や肉厚の厚い製品では内部まで十分に冷却されるまで時間がかかるため、当社では製品ごとに必要な冷却時間を設定し、十分な時間を確保してから型ばらしを行います。

冷却が不十分な状態で型ばらしを行うと、鋳物の変形や割れなどにつながる可能性があるため、製品の大きさや形状に応じた適切な冷却時間を確保することが重要です。

2.型ばらし

必要な冷却時間を確保した後、上型と下型を開き、鋳型内部から鋳物を取り出します。

当社では、鋳物を天井クレーンで吊り上げて鋳型から取り出します。

型ばらし直後の鋳物には、中空部や中子部などに鋳物砂が残っているため、後工程で砂が残らないよう、取り出し可能な砂をこの段階である程度除去します。

また、後に行うショットブラストの当たりを妨げるような大きな鋳バリなどについても、型ばらし時にあらかじめ除去します。

3.使用済み鋳物砂の回収・再生

鋳物を取り出した後、鋳型に使用した砂はシェイカークラッシャーを使用して金枠から分離します。

分離された砂は砂再生設備へ送られ、再び造型に使用できる状態へ処理されます。

鋳物砂は一度使用して廃棄するのではなく、適切な再生処理を行うことで、次の鋳型を製作するための原料として再利用することができます。

このように、型ばらし工程は鋳物を鋳型から取り出すだけでなく、使用した鋳物砂を次の造型工程へ戻すための工程でもあります。

4.揚がり・湯道・押湯の除去

型ばらし直後の鋳物には、製品本体だけでなく、注湯に使用した湯道や揚がり、押湯などが一体となっています。

まず、ハンマーによる殴打で除去できる揚がり、湯道、押湯などを製品から取り外します。

このとき、除去時の破断が製品本体まで進展することを防ぐため、当社では揚がりや押湯の根元部分を、揚がり径や堰断面よりも太く設計しています。

これにより、ハンマーで除去した際に破断位置が製品側へ入り込むことを抑えています。

一方、引け巣対策などのために設けた太い押湯は、ハンマーでは容易に除去できないため、この段階では残したままとします。

5.ショットブラスト

大きな鋳バリや除去可能な湯道などを取り除いた後、ショットブラストを行います。

ショットブラストでは、鋳物表面へショットを高速で投射し、表面に付着した砂、塗型、酸化物などを除去します。

当社では、製造する鋳物について一般的なショットブラスト設備を使用し、全数に対して処理を行っています。

型ばらし時に中空部の砂や大きな鋳バリをあらかじめ除去しておくことで、ショットが必要な箇所まで届きやすくなり、鋳物表面を効率よく清掃することができます。

6.太い押湯の切断

ショットブラスト後、ハンマーでは除去できなかった太い押湯などを切断します。

当社では、グラインダーに切断用砥石を取り付けて押湯を切断し、製品本体から除去します。

切断時には製品本体を傷つけないよう、切断位置や作業方法に注意しながら除去を行います。

7.研削・仕上げ

湯道や押湯などを除去した後、グラインダーを使用して鋳物表面を仕上げます。

主に、上型と下型の合わせ面であるPL面(パーティングライン)に発生した鋳バリや、中子の設置部分に発生した鋳バリ、余肉などを研削して除去します。

また、通常のグラインダーだけでは除去しにくい部分については、超硬バーやダイヤモンド砥石などを使用します。

必要に応じて、鋳型表面の亀裂などへ溶湯が入り込むことで生じる筋状・ひれ状の鋳バリや、鋳物砂が製品表面へ強く付着した焼きつきなどについても除去します。

製品として不要な突起や余肉を取り除き、図面や要求仕様に応じた状態へ鋳物を仕上げていきます。

8.応力除去焼鈍

鋳物は、鋳型内部で冷却・凝固する過程において、部位ごとの冷却速度の違いなどによって内部に残留応力が生じる場合があります。

この残留応力を低減するため、指定された製品については「応力除去焼鈍」を行います。

当社では20t台車式焼鈍炉を使用し、指定された製品について熱処理を行っています。

焼鈍では、約4時間かけて570℃±20℃まで昇温し、その温度で4時間保持した後、7時間以上かけて250℃まで温度を下げます。

急激に加熱・冷却するのではなく、所定の条件でゆっくりと昇温・保持・冷却することで、鋳物内部に残った応力の低減を図ります。

なお、応力除去焼鈍はすべての製品に一律で行うものではなく、図面や製品仕様などで指定された製品に対して実施します。

9.焼鈍後の再ショット

焼鈍を行った製品は、熱処理によって表面に酸化皮膜などが発生するため、検査工程へ進む前に再度ショットブラストを行います。

再ショットによって熱処理後の表面を清掃し、製品の外観や表面状態を確認しやすい状態へ整えます。

その後、製品は次の検査工程へ進みます。

型ばらし後も多くの工程を経て製品形状へ仕上げます

鋳型から取り出した直後の鋳物は、そのまま製品として使用できる状態ではありません。

鋳物砂の除去、湯道や押湯の除去、ショットブラスト、研削、必要に応じた焼きつきなどの除去、さらに指定製品では応力除去焼鈍を行うことで、製品として必要な状態へ仕上げていきます。

また、仕上げ工程だけを考えるのではなく、揚がりや押湯を安全に除去できるよう、鋳型を製作する段階から後工程を考慮した方案とすることも重要です。

このように、鋳造では注湯が完了した後にも多くの工程があり、それぞれの作業を適切に行うことが製品品質につながります。

次回は、仕上げ・熱処理を終えた鋳物について、要求された品質を満たしていることをどのように確認するのか、「検査・塗装・出荷」の工程をご紹介します。

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